土間には(板間とのあいだには)五つの竃が並んでいる。また土間の北側にはさらに大きな竃がある。これは災害などの救恤のときなどに使われたものだそうだが、会所での大人数での集まりなどでも使用されたであろう。汁もの、煮込み料理に使う大鍋が竃にかかっている。見学に訪れたときは、見学者は私ひとり、屋内はひっそりとしていたが、これらの竃が一斉に使われたときは、竃に火をおこし、鍋をかけ、水を運び、料理の準備、配膳の手配、などで非常ににぎにぎしかったであろう。煙や湯気がたちこめ、
あちらこちらから声が聞こえてきそうな気がする。