宇太水分神社・中社

宇太水分神社は三社あります。川の上流から下流にかけて、通称で上社、中社、下社と呼ばれているようです。まずは、というのはなんですが、ひとが一番行きそうな中社に行ってみました。

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宇太水分神社・中社鳥居

 写真は、中社の鳥居のなか、境内から門前町の方向です。ここは宇陀郡菟田野の古市場というところで、伊勢街道に面しています。榛原の方から(榛原菟田野御杖線)と、宇陀松山の方から(166号線)との合流地点にあって、伊勢参りの人々がここに立ち寄ってお参りしたと思われます。

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宇太水分神社拝殿

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宇太水分神社についての略記

 鳥居の近くには、写真を撮るよりまずお参りをしてから、という指導書きがあります。ですが、写真を撮ってから指導書きに気づきました。

 拝殿の前に「由緒畧記」(略記)があります。当社は崇神天皇の代の勅祭で設置されたもの。大和の東西南北に水分神社を配置した、そのひとつです。崇神天皇日本書紀では第十代の天皇と言われています。大和の国の範囲の確定のため四道将軍を派遣したとも言われています。

 拝殿の奥に、本殿があり、右から天水分神速秋津彦神国水分神が祀られています。

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宇太水分神社(中社)本殿、三社

 この本殿は、鎌倉時代のもので、国宝に指定されています。立派なもの。この三社のとなりに春日神社、宗像神社の社殿も並んでいます。

 鳥居のところには「頼朝杉」(源頼朝お手植えの杉、二代目)、「夫婦杉」が奥の左手にあります。

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頼朝杉

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夫婦杉

 このように見所も多いせいか、参拝者、来客もつぎつぎと来ていました。

 上流から流れてきた水が、榛原の方にむかって山の麓を回り込むようなところに神社は建てられています。樋口忠彦『日本の景観』83頁に、宇太水分神社(古市場)の地を遠望する写真があります。この辺りから撮った写真かなと推測をつけて、その辺りに行ってみたのですが、「田地の市街化」が進んだせいか、適当な場所を見つけることができませんでした。それでも少し神社から離れただけで「盆地」のありさまが見てとれます。それは上流、下流の方向に行くとはっきりとわかります。