三重塔(法楽寺、大阪田辺)

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法楽寺三重塔

 山門の外からも塔の相輪が見える。山門から入るとこの三重塔が正面にある。相輪の金色が鮮やかだと思ったら、この塔は平成に建てられたというので、なるほどそのせいもあるのだろう。

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平成宝塔説明板

 平成八年に落慶法要がなされた。「平成の三重寶塔」と三笠宮によって名づけられた、と説明板にはある。

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木鶏(?)

 この塔の一角にこのような木の鶏が据え付けられている。ちょうど木魚をたたくときの道具が横にあって、羽のところに隙間があり、たたけば木魚と同じような音を出すのかもしれない。たたいて確かめておけばよかったのだが、ただ見てこういうものもあるのだと通り過ぎた。

 しかし、あとで大横綱双葉山が「われ木鶏たりえず」と言ったこと、白鵬がそれを引用していたことを思いだした。木鶏ってこれだったのかと? 木鶏の話は荘子のなかに出てくる。岩波文庫版、金谷治訳の『荘子』第三冊、達生篇第十九に、紀[氵+省]子(きせいし)という闘鶏を育てる人が、王から立派な闘鶏を育てるように依頼された。十日ごとに鶏は闘鶏向きに出来上がったかとお訊ねがあるが、いまはむやみに威張って気力にたよっている、音や影がさしたりするとそれに向かっていく、相手をにらみつけて気勢を張る、と答えていた。そして、ようやく十分になりました、他の鶏が鳴いても、もう何の反応も示しません、離れてそれを見るとまるで木で作った鶏のようです。立ち向かってくる鶏はなく、背を向けて逃げてしまいます。こう報告した。

 という話で、これが「木鶏」という言葉のもと。相手の鶏(にわとり)が見ただけで逃げ出すのだから、音がでる鶏ではないようだ。木魚は魚のうろこの模様が彫られているから木魚。ともかく読経のリズムをとる補助として使う。塔(ストゥーパ)のところにあるから木鶏をたたいて経文を唱えるのがここでのただしい行いなのでしょう。