水茎の跡もうるわしく

 最近は万年筆を使ったことがない。或る人から郵便物をいただいた。万年筆で立派な文字が記されている。手書きの文字は人格をあらわすというけれど、たしかにそのようだ。自分はひどい悪筆のせいで、コンピュータができて、おおいに助かった。コンピュータがなければ、まさに人格がうたがわれているところだ。まあ、ほかのことでも疑われているだろうけれど。筆跡鑑定をされるとおそらくぴったりと性格を言い当てられるだろう。「水茎の跡もうるわしく」なんて一度は言われてみたいが、せっかちなものでひとつひとつの文字がしっかりと書けない。これからもずっと「読みづらい」「きたない」などと言われつづけるのだろうと美しく書かれた文字をみるたびに思う。(121010)

 ときどきは、万年筆で文字を書いてみるようにしています。