ソロー、ガンディー、キング

 非暴力直接行動(nonviolent direct action)の思想と実践は、ソローからガンディーを経てキング牧師へと流れこんでいって非暴力的不服従、あるいは市民的不服従の思想と実践として定着した。インド独立、アメリ公民権運動での成果がそれを示している。最初のソローの市民的抵抗は、税金の取り立て人に対して、戦争反対の立場から税金不払いを表明し、牢屋にぶち込まれたことであった。すぐに釈放されたのだが、この個人的な態度表明がガンディーやキング牧師の段階になると広範な支持者を獲得し、ノース・カロライナでの座り込み、ワシントンDCでの大行進デモに非暴力的不服従は典型的なかたちであらわれた。ソローの場合は税金不払いだったが、不買などの小さなことでも集まれば大きな力になることを示している。今の不買運動は、火をつけたり、モノをこわしたり、人をなぐったりして、暴力的な運動(煽動)もあるので、意志表明の一部の行動だけで非暴力不服従運動と判断するのは早計だろう。 (121018)