奈良に行くなら風の森

 ちょっとマニアックかもしれないが、奈良の南部に行くことがあれば、風の森に足を運んでみてはどうだろうか。和歌山とのほぼ県境に近く、峠になっている。名前のとおり和歌山県のほうから谷間をつたって風が吹いてくる。峠道にあたるが、田圃が開けていて、秋には稲穂が風に揺れている景色を眺めることができる。けっこう日本のどこにでもありそうな風景といえばそのとおりだが、なんだか日本の「原風景」などという観念が頭の片隅をかすめる。鴨氏ゆかりの神社をお詣りし、さらに北へと小高い道をたどってゆくと、古代の神話の世界へとつながってゆく。高天原一言主神社、など。京都の賀茂神社(鴨氏)とのつながり、など意外なこともわかる。葛城古道と呼ばれている道を歩くルート。観光客がいなくてのんびりできるからいい。あと「風の森」という名前の日本酒がある。これはうまい。入手は困難だろうが、もし手にできれば幸運です。(121101)