下鴨神社の言社

下鴨神社の楼門の前

 この日は下鴨神社の楼門の前に修学旅行とおぼしき高校生くらいの生徒たちが群れていた。いまの修学旅行生たちは観光バスではなく観光タクシーに分乗してあちらこちらを廻っているようで、数人を相手にタクシーの運転手が説明しているのが見受けられる。少し前ならばこのような修学旅行生を見ることがなかったのが、コロナ汚染の制限をやわらげたせいか。コロナ汚染者は相変わらず多いけれど。

下鴨神社境内中門

 下鴨神社の境内の中門を通り抜けて拝殿の前庭には「言社」と呼ばれる祠が七つ並んでいる。何度もここへは来ているが、まったく注意を払っていなかった案内看板がある。

言社配置図

 七つの祠は「えと」(干支)の神様として割り当てられている。12の「えと」を7つの祠に割り当てるから、数がうまく合わない。2つの「えと」をうけもつ神様もでてくる。日本人はうまれ年により、「えと」がまんべんなく割り当てられるから、拝殿に行く前か後かに、このどこかへ立ち寄るという寸法になっている。外国人には「えと」という意識はあるのだろうか? 外国人の生まれについて、「星座」なら聞くけれども、そうなると占星術的な考えかたになる。まあ、日本人に対しては、七つの祠のどれかにお参りする(させる)という方式としては有効なのでしょうが。

 肝心の神様の名前を見ると有名な大国主神(命)をはじめ、出雲系の神様である。鴨神社を祀る鴨氏は奈良の鴨族と同系統の氏族で、出雲系の氏族である。そのことを明確にあらわしているのがこの言社の小祠群というわけ。子年、牛年~だから、ここの祠へと導かれていると、神様の系統のことは意識から飛んでしまう。私も最初来たときは小祠群を見て、「なんだこれは」とは思ったが、まったく「下」鴨神社なのに古代の鴨族のことなど、まして出雲系統の人々のことなどは念頭になかった。