阪急梅田駅コンコース

5月2日、朝日新聞夕刊に加戸靖史論説委員が「梅田はいま、輝いているか」と題して、阪急梅田駅コンコースのことを書いていた。百貨店のところの空間のことだが、2年前の改装でアーチ型天井やステンドグラス、ヨーロッパの教会のような空間がなくなった。加戸は「天井は高く、柱もなくなって開放的になった。だが、白っぽく平板で、かつての個性を感じないのだ」と書いている。そのとおりだと思う。20年ほどまえの大阪は東京とくらべてたいしたものではないと感じたが、阪急コンコースの空間だけはすごいと思い、小林一三がつくりあげた阪急文化の力を感じた。進取の精神を感じないという加戸に、阪急の幹部は「時代に合わせて受け継いでいる」と反論したというが、ここだけは時代の平板さをとりこんだような気がする。東梅田のほうへとここを通るたびに、以前感じたような大阪という都市に生きる誇らしさのようなものが沸いてこない。