最後のよりどころ『大言海』

新編『大言海』が古本屋の棚にあった。安かったので買ったが、持ち帰るのは重くてたいへんだった。『大言海』は明治時代の文章を読むときには重宝する。国語辞典で有名なのは『広辞苑』であるが、これは比較的新しい言葉が載せてあって、百年ほど前の日本語を読むときには役立たないことがある。そして、なんども『大言海』にご厄介になってほほうとなったことがある。最後にたよる辞書に諸橋の大漢和がある。これも分からないところが、ぴたりとそのまま用例が載っていたりする。こういうことがあると、著者の超絶的な「いい仕事」ぶりに感心してしまう。きっと『大言海』もそんな役割をになってくれるに違いないだろう。そういえば、江戸趣味の先輩は学生時代から『大言海』を買って愛用していたな、と思いだした。年取ってから安く買ったが、若いときに高くても買っておけば、もっと豊かな言葉の海に近づけたのに。(121029)