「万物流転」のさと、エペソス

 「万物流転」というヘラクレイトスの言葉はたいへん有名である。彼が活躍したのはエペソスというところである。エペソスはヘラクレイトスからずっと後まで繁栄したところである。ここには十字架で磔になったイエスの母(聖母マリア)が、イエスの死後逃れてきた土地である。パウロはここで活躍し、ヨハネはここで福音書を書いたとされている。ギリシア哲学史では触れられることはあまりないが、古代ローマ時代までながらく繁栄したエペソスという土地柄を考慮にいれておきたい。ヘラクレイトス断片に「万物は火の、火は万物の対当交換である。ちょうど商品が金の、金が商品のそれであるように」という言葉がある。(121107)