奈良の鹿を食べた?

 2012119日の朝日新聞に「奈良のシカ駆除検討」というちょっとショッキングな記事が出ていた。鹿が増えすぎているので駆除を検討しているというのだ。これは動物が増えすぎ農作物、森林、人に害を与えるようになったとき取られる手である。ショッキングというのは解説で明治初期に「餌不足や疾病などで700頭から38頭まで激減」。その後春日大社などの保護運動により900頭まで増えたが「戦中戦後に食糧難による密猟が横行、79頭まで減った」と書いてあったことである。「奈良の鹿愛護会」のホーム・ページを見ると、明治初期は官が率先して銃殺したと詳しく書いてあるが、戦中戦後の事情については書いてない。奈良の鹿は神の使いとして大事にされてきたというのが通説だが、駆除したり、食べたこともあったのかと、奈良の鹿「神話」をひっくり返されたように思った。奈良では明治初期の廃仏毀釈が激しかったからそのあおりをうけたのかもしれない。ところで、過去の鹿に関する歴史では鹿殺しで何人も死罪になっている。政治的な状況によって、鹿に対する人間の側の対応が変化してきたという見本でもあろう。宗教的な言説にはかかわらない北海道のエゾシカは増えすぎて駆除され、鹿の肉はお土産用に缶詰になって店にならんでいる。奈良の鹿も駆除されたときに、鹿肉料理になったり、缶詰になったりするのだろうか?(121110)