内田樹『街場の戦争論』

この本の「まえがき」には、2013年暮れから2014年夏までに10冊以上の本を出したと書いてある。売れっ子も売れっ子というところだが、似たような話が重ねて出てくるのも仕方がない。そこでこの『街場の戦争論』では、似たような話のところをばっさり切ったら、「戦争論」のところが残ったので表題になったそうだ。どこかで読んだかなと思うところはある。それでも読んでしまうのは、武道家の流儀での思考が展開されているからだろう。「ないもの」を「あるかのように」表現することができるのが、武道家の師匠としてのやり方だというが、武道をまったく知らない、できない私でもそうなのかと受け取ってしまう。内田樹の本を読むと、いろいろと思考を触発されるされることも確かである。それは、マスコミのみならず、社会の組織のなかで常識めいたことがらとは違う発想に触れることができるからであろう。