l'État-providence(福祉国家)

 フランス語で福祉国家のことをl'État-providenceという。ところでprovidenceは(神の)「摂理」という意味であり、「福祉」そのものを示すわけではない(なかった)。Émile Ollivierがこの言葉を使いだしたらしい。英語ではwelfare state(福祉国家)、ドイツ語ではSozialstaat(社会国家)と表現するが、フランス語にもl'État socialという言い方もある。しかし、l'État-providenceという言い方のほうが一般的だという。それにしても、welfareという「幸福、繁栄、福利」(=福祉)という文字通りの表現ではなく、「摂理」という言葉と「国家」がフランスでは結び付いたのか、興味深い問題である。この問題の解決の方向をどうとるかによって、福祉国家に対する評価も分かれてくるようだ。(121021)