言葉
白川静『字訓』での「野」の意味の解説は、『字統』での解説にはない意味が入っていました。そのもとは『岩波古語辞典』の「野」:「広い平地。多く山裾の傾斜地などにいう」と書かれているように、日本語になって生じた意味が取り上げられているように、漢…
白川静の漢字三部作には、『字統』『字訓』『字通』があります。この三部作をつくりあげたというのは、まさに超人というしかありません。この三部作の中の『字訓』から「野」についての記述を引用しておきます。『字統』での「野」の記述と違って、日本語で…
白川静『字統』から、「野」の字源について以下に引用しておきます。 以前にあげました『岩波古語辞典』の「野」の解説と比較しますと、これは中国の漢字の解説(解字)です。日本語の古語辞典の解説とは異なることがわかります。といっても、これだけではわ…
邍(ゲン)[原]、これは「原」のもとの、本来の漢字です。これの字源とその意味について白川静の『字統』は相当詳しく解説しています。さすが! この記述を読むと『字統』がなぜ評価が高いのかが分かるような気がします。 ○邍(ゲン)[原]:形声。声符は、辵…
漢和辞典では諸橋轍次『漢和大辞典』まで参照した。漢和辞典を引いて分からない漢字がでてきても、諸橋大漢和を引けば解決する。とある漢字について、最終的に知りたいというときに、何度お世話になったかわからない。辞典も、諸橋大漢和までくるとほぼ最終…
それでは漢和辞典での「野」と「原」の意味を調べてみます。 その前に、注意しなければならないのは、中国思想研究者の溝口雄三氏がどこかで書いていたことと記憶していますが、漢和辞典は中国語の辞典ではない、ということです。漢和辞典は日本語の辞典、日…
現代日本語、古語日本語での「野」と「原」の語義はどのようなものかと見てきたのですが、はっきりしていそうで、もうひとつ分からないところがあるような、そのような説明のしかたになっていたような気がします。そのなかでも岩波古語辞典は、かなりつっこ…
日本語といっても文字文献では古事記、日本書紀、万葉集の時代からある。そこで、古語辞典でしらべてみた。古語もすべての辞典をしらべたのではないので、その点はさしひいてください。 ○『全訳読解古語辞典』第二版、三省堂。題名のように、訳語が用例にす…
「野」「原」の辞書的意味はどうなっているのだろうか。国語辞典の場合を見てみよう。国語辞典の全てを調べたわけではないので、その点はご容赦を。司馬はこの二つ(野と原)の語釈を、意味にうるさい辞書も避けていると言っている。例として『大言海』を挙…